社会を変革する映画

シネマのセラピスト


 シネ・ヌーヴォーの寛子ちゃんがMBS「映像90」に準主役的にご登場。
 シネ・ヌーヴォーも出てきます。寛子ちゃんから是非見て!と
 放映が終わってから連絡がはいり急遽局からビデオを取り寄せ見ました。
 寛子ちゃんはやっぱりずごい大阪女やと感動。

 題して「シネマのセラピスト」「アパートのセラピスト」の2本。
 寛子ちゃんが師事している幻燈社の前田監督を撮ったもの。
 前田さんは1昨年脳梗塞で倒れ半身不随に少しアルツハイマーの症状もあり、
 彼を介護する家族はないんだけれど、ほんとうに前田さんのことを
 大切に思っている仲間たちが大阪のアパートでチームを組んで介護をはじめた
 その記録です。
 前田さんが自分の作った作品に触れることによって少しずつ記憶を
 取り戻していく様子やフランスから一時帰国しているシングル男が前田さんの介護を
 期限付きで引き受けたり、若い男の子がかかわったり家族を超えた
 「他人介護」が現実に行われているこの記録はこれからの介護を考える上でも
 示唆に富んだ問題提起をしていることもあり、その面からもいい作品でした。
 勿論映画人にはとっておきのテーマでもありますが。
 よかったらご覧になってみてください。ビデオをお貸しします。   
K 明美(1997年2月7日)


何気なく見ていて、どんどん引き込まれていった、
ものすごく印象に残っています。

人間の記憶の奥底にあるきらめきが眠っていた脳細胞を
揺り動かすパワーを見せつけられました。

撮影現場に出向くと表情が本当に生き生きと変化して・・・・

二人の生活が終わる日、何とも寂しげな別れでした。
T 由美子(1999年2月9日)

 家族、公的福祉をこえて
 以前関わりのあった方々が
 脳梗塞の後遺症のある元映画製作者(前田さん)を
 支え、生活の中でリハビリをしていく。

 フランスから一時帰ってきている人との2ヶ月のくらし。
 数週間、25歳の男性とくらす。
 若い男女との台所、トイレ、バスを共有するくらし。

 それらのコーディネートと日常、医療などのサポートをする
寛子ちゃん。食事を提供する宋秋月さん。
 映画の話や上映、鑑賞をすることによって、
 前田さんは、だんだんいきいきとしてくる。

 考えさせられました。
HAYAKAWA,Wakako(1999年2月17日)

感動しました。

東陽一の『サード』や『四季・奈津子』などを製作した独立プロ・幻燈社の映画プロデューサ、前田勝弘氏が、脳梗塞の後遺症のリハビリを兼ねて、シネヌーヴォの松井寛子さんら映画仲間らのお世話で、大阪市内のアパートに住んでるそうです。その模様をMBS毎日放送がテレビドキュメンタリー番組にしたのがあって、テレビを見ないわたしはそのこともその番組のことも全く知らなくて寛子さんに近い知人に教えてもらってビデオを見せてもらったのですけど、こういうのって演出上の問題とか何を撮って何を撮らないかとか、そういう作品上のさまざまな不満以前に、錯覚ではあるけれども畳み込まれた「映画」という襞を通じてほとんど最短距離で触れあったしまう瞬間があり、ヒトゴトではない切実さとして見てしまいます。

たとえば、この前田さんは黒木和雄『とべない沈黙』の助監督として初めて映画界に入ったひとなのだそうなのですけど(アテネフランセが編集した黒木和雄映画祭のパンフにその記述あり)、その映画の撮影の思い出話を語るとき、痴呆症状が軽く出ていて基本的に乏しい表情の顔をせいいっぱい動かしながら困ったような泣き顔のような顔をつくって感情を表現する、からだの動きや声もふくめたその姿。
『とべない沈黙』の主人公を演じた「みのる君」という北海道の少年(この映画ごらんになった方はみんな同意してくれるだろうけど、この子はほんとに良かったのです)が、「僕に似てるやろ」なんてこと言う。それに答えて前田さんの世話をしている人が「嘘ばっかり!全然似てないよ。どこが似てるんや」なんて大笑いする。映画って文字どおりprojeter(投射/投影)するもんだ…っていうこと以前にそのやりとりの優しさに泣けてきちゃったりね。

たぶん番組としては、一般的に老後の(生きがいとしていた仕事ができなくなった後の)生活の問題とか老人介護の問題…特殊な施設に隔離したり専門家がつきっきりになったりするのでなくこのように地域のなかで仲間たちにかこまれて普通に暮らすことが一番ではないかみたいなメッセージ…がまずあって、たまたまその題材が映画関係者だったということなんでしょけど、それ以上に、映画に寄せた想いのゆたかさ・せつなさを感じさせて、作品に陰翳を与えていたと思います。
jaja(1999年2月25日)

以前MBSの映像90の番組で「シネマのセラピスト」のあの番組を創った
沢田隆三デレクターがこの度「国際エミー賞」の最優秀賞を受賞。
新聞にも大きく報道されたのでご存じの方も多いでしょう。
このMLでも彼の作品を見てくださった方がありうれしかったです。
今回の作品は重度障害者夫婦の日常(子育ても)を捉えた作品で
国内ではいくつかの賞を受賞していましたが、
エミー賞にノミネートされていたので彼は上司とカメラマンとNYに渡米。
BBCの作品が先によばれたのでてっきりダメと思っていたら
2作品が最優秀賞だったとか。この間の審議会でそのニュースを知らされました。
K 明美(1999年12月14日)


▲社会を変革する映画のメニューに戻る
△作品別索引に戻る