映画についてあれこれおしゃべり今日は『パッションフィッシュ』と『白痴』のハシゴだったんですけど(いずれも梅田ガーデンシネマ。ただし『パッション〜』は17日まで)、ジョン・セイルズの『パッションフィッシュ』がわたしのツボつきまくりで(という事態を全く予想してなかったから余計に)大泣きしてしまいました。要はI love youとはとても言えなくてI want youでさえないけれどI need youである関係って世の中に切実にあってしまうのねぇ〜ってことが現実の感情生活と変に同期してしまったのでした。
事故で半身不随になってしまった性格の悪い(といっても徹底的に悪いわけではない)女優と住み込みで彼女の世話をすることになった黒人ナースの二人を主人公に、ばりばりのスワンプ・ケイジャン男ナドがからむ、南部ルイジアナの沼地地帯が舞台でケイジャン音楽かかりまくりの、それほど(わたしは変なところでツボにはまって泣くやつなので)お涙頂戴映画ではないさわやかな映画です。
セイルズって決して器用な監督ではないのだけど、ええひとやなぁ〜って感じの映画つくります。『ブラザーフロムアナザプラネット』とかも好きだなー。
jaja(1999年12月14日)
「I need youである関係」っていうのよくわかる。
「現実の感情生活と変に同期してしまった」っていうのも同感。
わだJさんのすごく的確な表現に感心しています。
この映画のストーリーからは逸れた解釈かもしれないけど、
こういう関係は友情の中に恋愛感情が潜んでいる場合が多いけど、
恋愛よりも人生には「I need youである関係」が必要であると
50歳を迎えたとき痛切に感じ、「I need youである関係」があったから
うまく50代に入って行けたように思います。
それがなかったらちょっと私もさびしいことになったのではないかしら?K 明美(1999年12月14日)
『パッションフィッシュ』ネタバレ気味にもうすこし書いてみます。
先にも書きましたが、下半身不随になったワガママな白人女性が主人で、それを世話するのが黒人女性のナース。ヒロインが、その名も「スカーレット」というソープオペラの主役を演じているテレビ女優であることからもわかるとおり、同じく南部を舞台とした『風と共に去りぬ』を意識しているのは明らかなのです(ヒロインはアイリッシュ系っぽい顔してるし)。けど、いかにも現在の物語らしく、あのようなドラマチックな展開にはならないし、なによりも大恋愛物語が存在しない。いわば「切り下げられた」『風と共に去りぬ』なわけ。
黒人の登場人物もナースちゃんだけでなくいろいろ出てくるのですが、『風と〜』のマミーなどの黒人たちがほぼひとつの顔しか持っていないのに対して、こちらはさまざまなバックグランドがある。ヒロインを訪ねてきた女優仲間(ただしこれも「ともだち」ではないのよ)の一人の黒人女性と、ヒロインの世話をしているナースちゃんが台所で喋るシーン(ふたりの意外なバックグランドが語られる)とか、良かったですね。
お料理とか自然に対する生活感覚とかで、ヒロイン(白人)と黒人ナースちゃんの関係が逆転したりね。
あと、ユリシーズ(これはきっと『オデュッセイア』のではなくジョイスの主人公であろう)とか、アルベルチーヌ(もちろん『失われた時を求めて』のヒロインの名を意識しているであろう)とか、固有名詞にもいろいろ出てきます。
会話のなかにふと出てくる固有名詞もおもしろいんですけど、聞き取れなかった部分がだいぶある。このへんはYさんにでもご教示いただきたいものです。jaja(1999年12月16日)
主人公二人、どう言えばいいのかな、と帰り道考えていて、ふっと、こまたの切れ上がった、って言葉を思いだしました。
ちょっとずれてるかもしれないけど、きりっとして人間的で女でって二人がなかなかよかったです。
ただ、いつかも同じようなことを書いたような気がするんだけど、こういう映画を見て感動するには10年年を取りすぎた、とも思います。いわば、彼女たちはまだ途中のバス停にいるけれど、わたしはもう、かなり終点に近くて、ご苦労さん、大変ですねぇ、って感じで見てしまうんですね。やだやだ。
なかで、二人が見てるビデオ、和田さんは先刻ご承知でしょうけれど、「何がジェーンに起こったか」でしたっけ。あれですよね。で、あれも片方が車椅子の女二人だった、なるほど、うまいのを見つけてきたな、と思いました。あの映画、怖かったなぁ。Y 利子(1999年12月17日)
でも、あれってフツーに見てれば全然泣く映画じゃないですよ。わたしはへんなツボにハマってしまったもので…(笑)。
『何がジェーンに起こったか』のご指摘も、どうもありがとうございます。
そうですね。『風と共に去りぬ』とともにもひとつベースになってるのがこの『何がジェーンに起こったか』という映画でして、『パッション〜』のなかでは「TVのなかで」放映されていてその映像は見せずに、ヒロイン二人がそのTV画面を見ながら語り合うというシーンで出てきます。
たしかに『何がジェーンに〜』も、事故で下半身不随になった姉を二人っきりで住まう妹が世話することになるのですが、愛は無いのに互いが互いを必要としているその二人の憎しみあいがものすごいという殆どホラー映画です。妹のほうが度を越したファザコンというのも、『パッション〜』に引用されているかもしれない。
ところで『何がジェーンに起こったか』を3〜4年前にプラネットで上映したとき、わたしは(ふだんは仲が悪い(笑)からあんまりそんなことしないんだけど)妹を誘って二人で見に行きました。これを見て互いに互いの老後をちゃんと考えようね(笑)ということで…。イヤ他人事とは思えないんです。この姉妹を見てるとほんま…(笑)。
『何がジェーンに起こったか』は、ロバート・アルドリッチというどちらかといえば不遇な監督の作った、その映画じたいがまた往年の古き良き美しき映画に対する批判みたいなもんでして、ベット・デイヴィス(『イヴのすべて』など)とジョーン・クロフォード(『雨』など)という往年の美人女優二人が女優としてのプライドを賭けて(?)みごとに「老醜をさらけだす」演技をしてたのも凄かった…。
ビデオになってると思いますので、是非みなさんご覧になってくださいませ。
jaja(1999年12月18日)