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アフター・グロウ


こういう、ほんとの「オトナの女」の鑑賞に耐える良い映画が、こんなふうに目立たないかたちでしか公開されないのはほんっとに腹立たしい。
テアトル梅田でレイトショー(夜9時から)でしかやってないのですけど、このMLのかたがたにはぜひ見てほしいです。

アラン・ルドルフの『アフター・グロウ』。
元B級映画女優で今はアル中の中年女と、便利屋で出張先々で人妻に手を出してる最低男のカップル。ヤングエグゼクティヴだけど心のなかにはまだ孤独な少年がいる若い男と、子供が欲しいのに夫がセックスに応じてくれず欲求不満で部屋をかざりたてている若い女のカップル。まずは若い女と最低男の出会いから始まる不倫どたばたコメディなんですが、なんつーかもう、滑稽なのにたまらなく恐ろしく、またたまらなく哀しい。

恋愛妄想なんてひとかけらもないんだけど、恐ろしいまでの孤独とエゴの縁(というかエッジ)に立っているそれぞれの人間のすさまじさというか魅力というか、また滑稽さもあるんだけど、このへんの機微がわからないひととは、あんまり人間的なおつきあいはしたくないな(笑)。

ひとつのアパートの部屋が若い女のナルシシズムそのものになったりするところなどは、ツァイ・ミンリャンの『HOLE』とか、篠崎誠の『おかえり』などにも通じるか。徹底して愛と性が不在(というか剥奪されている)という点でも共通するしね。

もう50過ぎなのにこの色気!にすさまじい孤独を滲ませるジュリー・クリスティが圧倒的に素晴らしい! 最低中年フェロモン男のニック・ノルティも良いのと、この大物ふたりに刃向かうことなく受けでやってたララ・フリン・ボイル(しかし『ツインピークス』の頃からくらべるとオトナになって魅力的になった)と英国系美青年のジョニー・リー・ミラーの若いふたりもなかなか良くて…。

ジュリー・クリスティは若い頃『ドクトル・ジバゴ』で「ララ」という役をやってますけど、その役名をララ・フリン・ボイルが芸名にもらってるのもなんかの縁ならば、ミドルネームの「フリン」(エロール・フリンのフリンなんですが)が、劇中で口にされるのもまたお遊びかな。

舞台がカナダのモントリオール(というべきかモンレアルというべきか)なのでフランス語が効果的に使われるのと、英語もまた英国英語が効果的に使われるのと…。

jaja(2000年2月20日)

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